米国マサチューセッツ州ケンブリッジ
カリウム・チャネルKv7.2/3 チャネルは、別称M 電流とも呼ばれ、神経細胞の興奮性を抑える役割があります。そのため筋萎縮性側索硬化症 (ALS) の潜在的な治療ターゲットとして、現在大きな関心を集めています。いくつもの研究では、これらのチャネルを活性化すると、ALS 運動ニューロンで観察される過剰興奮性を緩和し、病気の進行を遅らせる可能性があることが示されています。過剰興奮性は運動神経を破壊し、神経変性を悪化させるからです。
カリウム・チャネルKv7.2/3 チャネルは、別称M 電流とも呼ばれ、神経細胞の興奮性を抑える役割があります。そのため筋萎縮性側索硬化症 (ALS) の潜在的な治療ターゲットとして、現在大きな関心を集めています。いくつもの研究では、これらのチャネルを活性化すると、ALS 運動ニューロンで観察される過剰興奮性を緩和し、病気の進行を遅らせる可能性があることが示されています。過剰興奮性は運動神経を破壊し、神経変性を悪化させるからです。ALS患者においては、K v7.2/3チャネルの活性化の減少など、カリウムチャネルの機能が障害されることにより、運動神経の興奮性が過剰レベルであることが多々の患者さんに見られます。Kv7はすでに癲癇(てんかん)病においては、過剰興奮性を抑制するための治療ターゲットとして検証済みです。
去年2024年の12月に、ボストンの隣町ケンブリッジに所在するQuaAlis社 https://www.quralis.com/ は、ALS患者を対象とした世界初のKv7の精密治療のフェーズ1の臨床試験(Phase 1 Clnical Trial)を開始しました。QurAlis社はハーバード大学医学部の世界的にも名高い神経生物学者たち数人によって2016年に設立された若いバイオテク会社です。
このトライアルはQRL-101という名称で、神経過剰興奮性が原因で疾患が進行したALS(50%と言われる)を対象とし、現在研究が進められている唯一のKv7イオン・チャネル・オープナーのトライアルです。このトライアルはまた、健常者ボランティアにおいてもバイオマーカー評価を目的としてなされており、これはALSだけでなく癲癇をも対象としています。QuaAlis社によりますと、2025年前半期中には、このトライアルのトップラインのデータが発表できるであろうと予定としているとのことです。トライアル参加者のALS患者からのデータ、そして健常者ボランティアからの初のデータは、最適な薬剤量を知る上で不可欠で、そしてその効果度の評価を可能としてくれるもので、ALS患者が必要としている新たな治療オプションを一刻も早くもたらす事を可能にしてくれるものと信じていると、QurAlis社のCEOのコメントがニュース記事に記載されています。
PR newswire誌の記事
Kasper Roet, PhD, CEO and Founder of QurAlis
QurAlis社の研究者、社員たち
下記の表は、現在進行中のQurAlis社のリサーチで、ALS、癲癇だけでなくFTDやPSPなどをも対象としています。
今年前半期、後半期はこのトライアルについても、ニュースを追いかけていこうと思います。
レポーター: Nobuko Schlough (伸子シュルー米国)2025年1月28日