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速報:メコバラミンの高用量製剤について、日本において筋萎縮性側索硬化症(ALS)に係る適応で新薬承認を申請

昨年11月13日付けの当ホームページ、ALS専門情報にて、高用量メチコバール注射剤についてレポートしましたが、本年1月26日付エーザイニュース(注1)に日本での高用量メコバラミンの高用量製剤ALS適応で、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)(注2)に新薬承認申請を行ったと報告されています。メコバラミンは「メチコバール注射液500μg」として末梢神経障害及びビタミンB12 欠乏による巨赤芽球性貧血の適応で承認・販売されています(注3)。本申請は、医師主導治験として実施された、発症早期のALS患者に対する高容量メチルコバラミン(メコバラミン)の第Ⅲ相試験の結果に基づくものです。

 本剤は厚労省から希少疾病用医薬品の指定を受けており、希少疾病用医薬品・希少疾病用医医療機器・希少疾病用再生医療等の指定制度(注4)の対象となっています。本制度は、難病やエイズ等を対象とする医薬品・医療機器は医療上の必要性が高いにもかかわらず、患者数が少ないことから本邦において十分に研究開発が進まないことを背景にその促進を目的として制定されたものです。

指定要件は、対象者数:本邦において対象とする患者数が5万人未満であること(ただし、指定難病である場合は、患者数の要件を満たすものとする)、医療上の必要性:重篤な疾患を対象とするとともに特に医療上の必要性が高いもの(例えば、代替する適切な医薬品・医療機器・再生医療等製品または治療法がないことなど)、開発の可能性:対象疾患に対して、当該医薬品、医療機器または再生医療等製品を使用する論理的根拠があること、その開発に係る計画が妥当であることの3点となっています。

本制度の対象となると、できるだけ早く医療の現場に提供できるよう、他に優先して承認審査がなされる。また、希少疾患用医薬品に指定された場合は、承認審査に係る手数料が減額される。PMDAでは希少疾病用医薬品・希少疾病用医医療機器・希少疾病用再生医療等を対象とした、優先対面助言制度があり、また、希少疾患用医薬品に指定された場合は、治験相談の手数料が減額される。助成金交付や税制措置(助成金交付の対象期間に行う試験研究の総額(助成金は除く)の20%を税制控除額として算定できる)などの費用的な措置の対象にもなります。

注1       2024年1月26日付け、エーザイニュース、メコバラミンの高用量製剤について、日本において筋萎縮性側索硬化症(ALS)に係る適応で新薬承認を申請

注2       医薬品医療機器総合機構(PMDA)とは、2004年4月にいくつかの機関が統合され生まれた独立行政法人。医薬品・医療機器などの品質・有効性および安全性についての指導と審査(承認審査)、市販後における安全性情報の収集と分析・提供(安全対策)、医薬品の副作用や生物由来製品を介した感染等による健康被害に対する救済(健康被害救済)の3つの役割がある(医薬品医療機器総合機構ホームページ)。

注3       既承認薬、高用量メチコバール注射剤の臨床試験の詳細については、昨年11月13日付け、ALS専門ニュース、日本におけるALS治療薬の開発状況N.1.を参照

注4       厚生労働省ホーム、医薬品・医療機器、希少疾病用医薬品・希少疾病用医医療機器・希少疾病用再生医療等の指定制度の概要

2024年1月26日 報告者 橋口 裕二

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