今月、米国ALS協会はAsha Therapeutics: アシャセラピューティクス社(本社DC, 研究所フロリダ州)にALS用治療薬として期待されるASHA−624というタンパク質SARM1の阻害剤の開発の支援目的としてグラントを与えました。ALS関連ニュース記事で発表されています。
SARM1は神経線維の変性に深く関与しているタンパク質です。以前の研究からSARM1は孤発性ALS(sALS)のリスク原因分子となることが報告されており、神経軸索変性の主要仲介者とされています。このタンパク質は通常、細胞内で不活性な状態で存在しています。ところが何らかの損傷や過度なストレス下で活性化され一連のイベントを引き起こし、神経軸索を自己破壊へと誘導していきます。 こういった変性や神経細胞死はSARM1をノックアウト(遮断、阻害)することにより著しく抑制できます。 ですからSARM1を標的とした薬剤ができれば、神経細胞死を抑制できるというわけです。 神経軸索変性はALSだけに限らず、パーキンソン病や多発性硬化症などその他の数々の神経変性疾患の中心的な病理学的特徴でもあり、その分、この阻害剤の効果が幅広い分野で期待されています。
これまでの動物実験では良好なデータが蓄積されており、ALS協会のサイトやその他のニュース記事では、初のヒトでの臨床試験が来年の初期には開始と予想されているとのことです。
アシャセラピューティックス社のサイト
https://www.ashatherapeutics.com
ALS News Todayのサイト
First-in-human trial of ALS therapy ASHA-624 expected in early 2025
Business Wire誌のニュース記事
レポーター: 伸子シュルー Nobuko Schlough(米国)、P-ALS