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[ オーストラリア・ベルギー・米国 ] 介在神経に注目ー ALS疾患における 新たな治療法としての期待

ALS疾患に関してはこれまで運動ニューロンに焦点が当てられてきましたが、ALSの発症や進行には、実は介在神経(インターニューロン)の異常が深く関与していたということが近年の研究で明らかになってきており、実験によるそのエビデンスが増え数々の論文で発表されています。動物モデルの研究では、運動ニューロンが死に始めるよりも、もっと早い段階で、脊髄の介在神経にストレスや機能障害が生じることがわかってきています。

介在神経は、脳や脊髄などの中枢神経系内に存在し、感覚神経と運動神経、あるいは運動神経同士を繋ぎ、神経回路における情報の処理、統合、抑制的な制御、反射の形成に不可欠な役割を担っています。 脳内の運動野や脊髄において、GABA*1やグリシン*2を放出するGABA作動性介在神経と呼ばれる抑制性の介在神経が減少したり、機能不全に陥ると、神経活動の抑制の喪失がおきます。そして抑制が効かなくなることで運動ニューロン(特に錐体運動神経)が過剰に興奮し、細胞内にカルシウムが過流入して細胞を損傷し、そして運動神経細胞死を招きます。それは「グルタミン酸毒性」で、興奮毒性と呼ばれており、ALSの発症メカニズムにおいて重要な役割を果たしているとされています。

*GABAは、Gamma-Amino Butyric Acidの略語で、日本語名は『ガンマ・アミノ酪酸』。脳や脊髄の興奮を鎮めてリラックス状態をもたらす神経伝達物質の一種。脳や脊髄内でグルタミン酸からGADという酵素の働きによって作られる。 

*グリシンは、肝臓や腎臓で生成される非必須アミノ酸の一つでコラーゲンの主要成分であり、また血液の重要な成分でもある。神経ネットワークの情報のやり取りに関わり、カラダの運動や感覚などの調整に関わっている。

動物実験によりますと、それら抑止性の介在神経の機能を強化することによってALS発症を遅らせたり、症状を減少させたりと、サバイバル期間を延ばせるという結果がでており、新しい治療法として期待されています。また介在神経の健康度、病状を監視することによりALS疾患のバイオマーカーとしても使えるのではとも論じられています。これまでALS研究者たちが何十年もの間、運動ニューロンに大きな焦点を与え続けてきたことを、「その隣に存在しているとても大事なインターニューロンを灯台下暗しで我々は見過ごしてきた」と論文で言及する研究者たちもいます。 この動きによってこれまで以上に効果のある治療法が新たに、そして速やかに見いだせれていくことを願って止みません。

参考資料:

https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC11967792/#:~:text=In%20summary%2C%20we%20now%20have,ultimately%20leading%20to%20their%20demise.

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39385724

https://www.frontiersin.org/journals/neuroscience/articles/10.3389/fnins.2024.1434404/full

https://www.nature.com/articles/s41467-024-48925-7#:~:text=Abstract,target%20to%20attenuate%20ALS%20symptoms.

レポーター: 米国在住   Nobuko  Schlough (伸子シュルー)@P-ALS

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