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[ 米国 ] 世界初の薄いテープ型のB C Iの研究開発

次世代ブレイン・コンピューター・インターフェース(B C I)として米国プレシジョン・ニューラルサイエンス社(2021年設立)のイノベーションが、最近テレビや科学オンライン誌ニュースのあちこちで取り上げられて話題になっています。

イーロン・マスク氏のニューラリンク社の創設者の一人であった脳外科医ベン・ラポポート氏の発明したテクノロジーで、彼は同社の創設者の一人です。今年初めには投資家によるファンディングが合計すると5300万ドルに到達し、24以上もの特許を獲得できたとのことでさらに注目を浴びています。今年中にF D Aへの初提出を目指しているとのことです。事故や難病の神経変性病(A L Sなど)で全身が麻痺状態になった患者が思考のみでキーボードを操作し、あるいはボイス・メッセージでコミュニケーションを可能にするという目的のB C Iです。

これまでのB C Iとは違って、デバイスは薄いフィルムでできており、スコッチ・テープを思わせるものです。人間の髪の毛よりも薄い1024個ものミクロ電極で構成されています。他のB C Iのように開頭手術も必要なく、脳を突き刺して電極を埋め込む必要もなく、患者の髪の毛を剃る必要もなくなります。頭の細いスリット(切口)から差し入れて、脳の表面に設置するだけで良いという、侵襲性がとても少ないことを利点としています。その上に電極の数が通常のB C Iよりも何百倍も多いので獲得できるシグナル情報量が多く高解析度であるということ、また、年数が経ったのちに患者が希望すれば、新しいデバイスとの取り替えも容易にできるリバーシブル(可逆)な点を大きな強みとしています。テクノロジーの名前はThe Layer 7 Cortical Interface (大脳皮質の7番目の層・インターフェース) とのことです。人間の大脳は6つの層でできていて、その上にテープを被すので7番目の層という意味から名付けられたそうです。

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https://precisionneuro.io/

https://www.cnbc.com/2023/01/25/capoot-precision-neuroscience-12523.html

2023年3月15日  Nobuko Schlough

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