米国ユタ州ソルトレイクシティのClene(クリーン社)によって開発中の金ナノ結晶CNM-Au8薬はALSを対象として米国FDAから希少疾病用トライアル医薬品としての迅速承認を検討の肯定的に受け、2025年に承認申請の可能性
https://clene.com/about-cnm-au8/
クレーン社のウェブサイトでは、フェーズ2/3のトライアルでは、ALSを対象として病の進行を大幅に遅らせ、患者のサバイバル日数を延したと発表しています。今までのところマルチサイトにおけるトライアルでは、トータルで患者のべ年数650年にも及びますが、飲み薬であるこのALS用薬剤の安全性が認められているという吉報です。
触媒活性の金ナノ結晶を用いたこの薬剤は経口懸濁液です。薬剤名の中にあるAuは重金属Gold(金)の元素名で、CNMはClene社ナノ・メディシンの頭文字ですので、金を使ったクリーン社製ナノ医薬品という意味の名称です。ご存じのように、ナノ医薬品とはナノテクノロジーを製剤技術に応用し、ナノメートルサイズの構成要素を有する医薬品のことを呼びます。以前から金ナノ粒子は、神経栄養因子の生成を促進するとか、神経の髄鞘の再形成や修復を助けるといった報告もされていますが、クリーン社のこのナノ医薬品はALS、パーキンソン病(PD)、多発性硬化症(MS)など複数の神経変性疾患を対象として開発進行中です。
疾病修飾治療として、細胞内のミトコンドリアのエネルギー産出機能を支援し、病に侵されて損傷した神経細胞の修復をし病気の進行を遅らせることを目標としています。RESCUE-ALSというトライアルの結果では、長期間にわたりCNM-Au8を毎日30ミリグラム摂取した患者はPRO-ACT 傾向対象者に比較して全死亡率リスクが70%減少し、またMiNDAUS傾向対象者に比べて全死亡率リスクが51%減少したと発表されています。クリーン社はこれらのトライアルのデータは、この薬剤の脳神経のメタボリズム(代謝作用)をサポートするというメカニズム(機序)と、酸化による細胞ストレスを大幅に減少させるというメカニズムの二つを実証していると記述しています。cnm-Au8の今年の動きが期待されます。
Neurology Live誌より
In RESCUE-ALS, long-term treatment with CNM-Au8 30 mg revealed a 70% decreased risk of all-cause mortality in comparison with PRO-ACT propensity matched controls (HR, 0.311; 95% CI, 0.142-0.682; covariate adjusted, P = .0035). It also had a 51% decreased risk of all-cause mortality compared with MiNDAUS propensity matched control (HR, 0.487; 95% CI, 0.287-0.824; covariate adjusted, P = .0074).
下記のリンクはMerisa Wexlerの記事がご覧になれます。昨年11月に行われたFDAとClene社との会合で前向きなデータがClene社から提出されたことでFDAは迅速承認に肯定的になったことや、迅速承認と正式承認の違いなどの薬の承認プロセスの解説などが記事になっています。
ALS News Today誌 https://alsnewstoday.com/news/fda-outlines-steps-consider-accelerated-approval-cnm-au8/
2025年1月1日 報告 Nobuko Schlough 米国P-ALS