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[ 米国 ] NSAID薬ALS転用の研究

NSAID(非ステロイド性抗炎症薬)のイブプロフェンやナプロキセン、抗熱鎮痛剤アセトミノフィンは、処方箋なしでも購入でき、米国ではスーパーでも購入できますが、これらの薬が、ALSを含む神経変性病の発症リスクを下げるとの発表 ーこれらの研究発表は数年間でいくつもの論文が数カ国から発表されています。治療効果を期待したいところです。しかし、研究対象患者の数が少ない、散発性か家族性の仕分けが不明など、未検討な課題が多く、さらに進んだ研究が期待されるようです。

炎症を抑える薬、鎮痛剤、熱冷まし薬が、難病として知られているALSの発症リスクを下げているという発表は数年前から出ていますが、最近またいくつか出ています。今回の発表の中にはハーバード大学MGHの小規模のメタアナリシスによって出されたものもあります。NSAIDは体内の炎症過程に介入し炎症を抑制することで、おそらく神経細胞保護効果を与え、結果的に発症リスクを下げているのだろうと研究者達は述べています。

2020年にNature誌やScientific Reportで発表された韓国のYeungham大の論文では、非アスピリンNSAIDはCOX-2という酵素(炎症の活性化をする重要な役割を持つ酵素)の働きを抑制するので、結果、炎症過程を抑えると説明しています。このニュースはその年にALSnewsTodayでも掲載されました。アスピリンでは全く違いがありませんでしたが、イブプロフェン(Advil)やアセタミノフェン(Tylenol)を使用している人々では使用していないグループと比較すると病気を発症する率が低く出たとのことです。(例:アセタミノフェン使用だと20%減) Disease Odds(疾患の確率)で見ると、非アスピリンNSAIDを使用しているグループとしていないグループ比較で、使用グループが18%減とのことです。

マサチューセッツ・ジェネラル・ホスピタル(MGH)でこの研究をしている研究室のリーダーであるSadriーVakili博士は、「我々のネズミ実験では、抗炎症剤を用いた治療を受けたネズミたちは、ALSの発症を遅延させており、ALSの進行において炎症は重要な役割を持っているという我々の考えを支持しています。よって、抗炎症治療を深く追求していくことは効果的なALS治療法を開発することにつながるとても価値あることです。」と述べています。SadriーVakili博士達は、喘息用の既存薬クロモリン・ナトリウムは、炎症を抑えることでアルツハイマーにも効果を示しているが、ALSにも効果があるのではと研究をしているとのことです。クロモリン・ナトリウムとイブプロフェンとの併用だと、相乗効果が出るのかという研究のようです。

オンライン誌Harvard Health Publishingでは、普段から炎症を抑える食事をすることを推薦しており、炎症を促す食べ物(甘いものや、Red Meatなど)を避け、抗炎症の食べ物をより多く摂るようアドバイスしています。抗炎症の食べ物は、オリーブオイル、フルーツ類(ベリー系、オレンジ、チェリーなど)、野菜類(トマト、ほうれん草、ケイル、他)、ナッツ類(アーモンド、ウオーナッツ、他)、脂身の多い魚(しゃけ、マグロ、イワシ、鯖など)などです。また、適度な運動も炎症を抑制することが知られています。

https://www.nature.com/articles/s41598-020-71813-1#Sec13

https://www.health.harvard.edu/staying-healthy/foods-that-fight-inflammation

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7479139/

2024年1月18日 報告者:Nobuko Schlough 米国

注1:日本でのNSAIDについて:非ステロイド抗炎症薬はOTC薬扱いで、処方箋なしでも、薬局或いはドラッグストアーで買えるものがあります。OTCは幾つか分類があり、ロキソプロフェンは第一類なので、薬剤師からの文書での説明が必要。イブプロフェンやアスピリンなどは第二類なので、薬剤師あるいは登録販売者が常駐している店舗であれば販売出来ます。薬の説明は努力義務になります。OTC薬:要指導医薬品と一般用医薬品

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