筆者が去年このニュース欄にて読者の皆様にお知らせしました米国アメリックス社のALS経口薬AMX0035 (米国製品名レリブリオ)に関してのニュースが米国で今朝報道されましたので、P-ALSの読者の皆様に速報として共有いたします。 この薬は2022年の9月にFDA(米国食糧医薬品管理局)により承認され、日本では去年の4月に1万人の患者署名が政府に提出されており、それを受けて厚労省が承認検討との回答を出しているものです。 世界中から多いに期待されていただけに非常に残念な結果で、アメリックス社も予想していなかった試験結果にとても驚いたと表明しています。
このトライアルはPhoenix(フェニックス)と呼ばれるフェーズ3の臨床試験で、プラセボと比較して統計的有意性(p=0.667) が満たされなかったとのことです。測定はALSFRS-Rと呼ばれるALS機能評価スコアー訂正版でなされました。幾つかの国にまたがって664人の大人のALS患者を含めたグローバルなトライアルで、ランダム化プラセボ対照でなされ、試験期間は48週間(1年弱)にわたるものでした。参加者は3対2の割合でAMX0035かプラセボを与えられました。両方のグループともトライアル期間中もALSの標準治療薬であるリルゾールとエダラボン(日本では製品名ラジカット)は飲み続ける事が許されました。
統計的に十分な数字ではなかったにせよ、試験に参加した664人のALS患者さんのデーターから、AMX0035の一般的な安全性と忍容性が再確認されたとのコメントもなされました。向こう8週間においてアメリックス社はFDAとそしてALSコミュニティーと話し合いを続け、Topline データを共有していくとのことです。 ALS病におけるAMX0035の将来が決定され次第その決断内容を伝える予定であるとし、可能性として挙げられる決断の中には、自主的にAMX0035を市場から下ろすことも含まれているとのことです。AMX0035はPSP(進行性核上性麻痺病)やウオルフラム症候群を対象にしたトライアルも現在進行中です。ALSを対象としたAMX0035に関しては向こう2−3ヶ月、決断の経過ニュースを追いかけていくつもりです。
参照:
March 8,2024 レポーター: 伸子・シュルー (米国)