「新薬について」の記事を探してみましたところ、下記のPaper(Nov, 2022)は、現在認証されている3つの薬と、現在クリニカル・トライアル進行中のものをとてもよく網羅しておりわかりやすく説明しているものだと思いましたので提供させてください。一人ひとりの患者さんの症状タイプにとって最も効果が高い薬を正確に選択できる日が1日も早く近づくことを願って止みません。
論文の要約:
まず下記の3つが現在米国とカナダでFDA認証済み (カッコは米国承認の年)
1 Riluzole (1995) 日本名リルゾール 抗グルタミン酸
2 Edaravone (2017) 日本名ラジカット(日本では2015年承認)フリーラディカル・スカベンジャー
3 Relyvrio (2022) AMX0035の別名 抗アポトーシス(ミトコンドリアと小胞体をターゲット)
2番目のエダラボン(ラジカット)は、ドイツとイタリアの臨床検査で効力無しという結果が出てヨーロッパでは認証されていないとのことです。
現在クリニカル・トライアル進行中のもので特に期待されているもの
1 Methylcobalamin(補酵素 ビタミンB12)
2 Masitinib (抗炎症薬)
3 CNM-Au8 (神経栄養因子)
4 Tofersen (SOD1 アンチセンス・オリゴヌクレオチド(SOD1mRNAを劣化させる遺伝子治療))
→アップデート: トフェルセンは2023年4月25日に米国FDA承認済みとなりました。
2020−2022の間だけでも、53個もの新薬が臨床検査に入り、そのうち:
3個はフェーズ 3トライアルで最近脱落
13個はフェーズ 3で進行中
31個はフェーズ 2で進行中
6個はフェーズ1で進行中
注 ヒトに対する臨床試験は1から始まり、3まであります。基礎的な安全性試験から始まり、統計的に有意な数のヒトを対象にした3(フェーズ3、Phase 3)までの段階で行われ、これを終了した後に各国の機関で吟味され、安全性、有効性が認められると「承認審査」通過となります。
それらトライアル中の薬はその機能によって以下の8つに分類されています。
1 抗アポトーシス (細胞死を防ぐ)
2 抗炎症
3 抗興奮毒性
4 統合ストレス反応の調整
5 神経栄養因子と神経保護作用
6 抗凝集
7 遺伝子セラピー
8 そのほか
下記の図はその8つの分類を示しています。
論文のリンク
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36518658/
こちらのサイトだと、論文全てが読めるようになっています。 https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fphar.2022.1054006/full |
これらのトライアルは定期的に追っていこうと思います。
伸子 Nobuko Schlough
調査日時 2023年1月21日 追記日時 2023年7月2日