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[ 米国 ]COYA302という臨床試験中の薬について

去年の3月にALS News Todayのサイトでも取り上げられていた少規模臨床試験中のCOYA302(米国ヒューストンのCoya Therapeutics社)と呼ばれるALS治療薬候補ですが、最近米国のテレビニュースでトライアル中の患者さんの元気な様子が報道されていましたのでお知らせしたいと思います。テストに参加している患者さんたちが顕著な病態進行遅延効果を示しているとのことです。

COYA302は免疫系のシグナル分子であるIL-2(Interleukin2、白血球の活動を規制するインターロイキン) と、アバタセプトとも呼ばれる融合タンパク質であるCTLA-4 Ig(Cytotoxic T-Lymphocyte Associated Antigen 4 細胞傷害性Tリンパ球関連抗原4)を組み合わせた製薬です。 この薬に期待される点は次の二つです。

1 T reg  (Regulatory T Cellsのこと、日本語では制御性T細胞)の活性を増加させ炎症反応を減少させること

2 活性された単球とマクロファージによって起きる炎症を抑えること

参加者は毎月ALSFRS-R機能測定で機能レベルを測定されましたところ、半年の時点でほとんどゼロに近い(0.7点)機能レベル変化、そして12ヶ月後で平均1.5点のみの減少にとどまったと報告されています。ちなみに臨床試験前には患者さんたちは月々の機能測定で、毎月1.1点ずつの減少を続けていたとのことです。今年は大規模な臨床試験を試みており、近々FDA(米国食品医薬品局)へIND (Investigational New Drug 治験中新薬)の申請を提出する予定だそうです。大規模な臨床試験でもその安全性、有効性が検証されることが期待されています。 去年末のニュースでは、Coya Therapeutics社と Dr. Redddy’s Laboratory社(インド、ハイデラバッド)間でD r .Reddy社の米国、カナダ、英国、EU国内での独占販売権の契約締結が報道されました。

制御性T細胞の機能不全をターゲット(標的)とするCOYA302薬はALSだけでなく、FTD(前頭側頭型認知症), アルツハイマー、パーキンソン病にも適応範囲を拡大していく予定だそうです。パイプライン図がCoya社のウエブサイトに示されています。

Coya Therapeutics社のサイトより https://coyatherapeutics.com/pipeline/

参照: 

2024年4月17日 報告者 伸子シュルー

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