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ALSの発症年齢のばらつきは?

愛知医科大学らの共同研究グループの研究成果発表がありました。2025年12月5日

ALSは発症年齢がバラバラでいつ発症するかわからない。この疑問を解くための研究発表。日本のALS患者を対象とした今までに行われた各所の研究結果を併せて統計的に解析研究し、GPM6A遺伝子を同定。

  • 今回発症年齢に関連すると強く考えられる新しい遺伝子が特定できたことはALSの診断や、より早い治療開始に恩恵が出てくると思われます。
  • 以下研究グループのプレス発表から引用します。

学校法人愛知医科大学(祖父江 元、熱田 直樹、中村 亮一、藤内 玄規、以下「愛知医 科大学」)・国立大学法人東海国立大学機構 名古屋大学大学院医学系研究科(中杤 昌弘、松田 侑美、以下「名古屋大学」)・慶應義塾大学再生医療リサーチセンター(岡野 栄之、森本 悟、 以下「慶應義塾大学」)らの共同研究チームは、日本人 ALS※1 患者 2,015 例(探索コホート 1,808 例・再現コホート 207 例)を対象としたゲノムワイド関連解析(GWAS)※2 により、ADAM29– GPM6A 遺伝子間に存在する遺伝子多型※ 3(rs113161727)が ALS 患者の発症年齢の若年化と 有意に関連することを明らかにしました(効果量−4.40 年、p=1.08×10-9)。さらに日本人で最 も頻度の高い家族性 ALS の原因遺伝子である SOD1 遺伝子変異を有する患者では、同遺伝子 多型により発症が約 10.2 年早くなることを明らかにしました。患者由来 iPS 細胞から分化さ せた運動ニューロンにおいて、同遺伝子多型(rs113161727)の保有者で GPM6A の発現が上 昇していることも確認しました。ALS は多様であり、治療開発は多様性を踏まえる必要があり ますが、本研究は、ALS の個別化治療に向けた分子基盤の一端を明らかにするものです。 本研究成果は、2025 年 12 月 5 日に国際学術誌 『Communications Biology』(オンライン 版)に掲載されました。

【本研究成果のポイント】 

⚫️ 日本人 ALS 患者のゲノムワイド関連解析で、ADAM29–GPM6A 領域の遺伝子多型が 発症年齢の若年化と関連 

 ⚫️ SOD1 遺伝子変異を有する患者では、同定した遺伝子多型により発症が約 10.2 年早い ことを確認 

⚫️ 患者由来 iPS 細胞から作製した運動ニューロンで、遺伝子多型により GPM6A 発現上 昇を確認

⚫️  将来的には遺伝的リスクに基づいた ALS 発症予測や早期介入などの個別化医療への 応用に期待

引用元 https://www.keio.ac.jp/ja/press-releases/files/2025/12/8/251208-1.pdf

2025年12月12日 報告者 永澤 清@P-ALS

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