こんにちは、財団メンバーでALS患者のあみです。
ALS進行期で変化していく身体への対応に追われる日々ですが、患者だからこそお伝えできる情報を「あみの部屋」コラムでお届けします。
今日は、移乗サポートロボットHugでペルモビールの大型電動車椅子へ移乗する方法をご紹介します。
もともとは入院患者仲間の1人から、
「お尻の位置をずらして座りなおしをする時はつるつる滑るエコバッグが便利なのよ」
と聞いていました。しかしその時点ではまだ腕力もあり、必要なかったのでそのままになっていました。
その後、本当にその技術が必要になったころ、いつもお世話になっている介助者の一人からも、全く同じ話を聞き、実際にエコバッグを持ってきていただいたので、さっそく試してみよう、となったものです。
やってみると、思った以上に簡単にお尻の位置をずらすことができて感動!
それから約1年、Hugでの移乗が難しく2025年11月まで、エコバッグを使って移乗してきた、というわけです。
私の場合の導入経緯
さて、以前はHugから車椅子へ浅座りした後、深く座るために、介助者2名にズボンの腰ベルト部分を掴んでもらい、車椅子の背もたれの方向に引っ張ってもらっていました。
その時、私自身も足と腕の力で協力動作をすることにより、3人が息を合わせて、車椅子への深座りを実現していました。
しかし、残っていた脚力と腕力の低下が著しくなった2024年12月頃、ズボンがお尻にくいこまないように、ズボンが破れないように、そして筋疲労を最小限にとどめるために、エコバッグをお尻の下に敷いて滑らせることによって、負担なく深座りできる方法に介助方法を変更しました。
必要なもの
- Hug
- 大型電動車椅子(ティルト・リクライニング機能付き)
- エコバッグ
- エコバッグが滑り落ちないように押さえとなる重し:私の場合はうさぎのぬいぐるみ
Hugから大型電動車椅子への移乗手順
- (1)車椅子の座面にエコバッグを平らに敷く
- → 取っ手が前にくるように設置
- (2)バッグが前にずり落ちないようにウサギを置く
- → 後で掴みやすいよう取っ手は長めに垂らす

- (3)Hugをまっすぐに車椅子に近づけて、ブレーキをかける
- (4)Hugを下げて車椅子へ浅座りし、手をHugから離して車椅子のアームレストを掴む
- → 迫りくるお尻につぶされる前に、ウサギを安全な場所に避難させる
- (5)介助者は左右両脇に立ち、股の間からバッグの取っ手を片手でしっかり掴み、もう片方の手でバッグの底の端の方を掴む
- → 車椅子のアームレストの下から手を伸ばして掴む
- → 一人介助の場合は片手が取っ手2つ、もう片方の手でバッグの底の中央部を掴む
- (6)2人で息を合わせて後ろ方向(背もたれの方向)へ引っ張る
- → お尻を後方へ滑らせる


- (7)腰のシートベルトをとめる
- (8)エコバッグで滑り落ちないように、車椅子をティルト機能で上方へ傾け、安全が確保できたらHugをいったん車椅子から離す
- (9)靴(またはスリッパ)を履かせて、フットレストを下げて、その上に足を載せる。
- (10)膝上にゴムベルトを装着する
- → 私の場合、内転筋が弱まり膝が開いてしまうので常時ゴムベルトを装着している
- (11)例え不完全な深座りでも、仕上げは車椅子のティルト・リクライニング機能を使って、お尻の位置を座面の奥まで(背もたれ方向に)滑らせ、そのまま体を仰向けにする


- (12)介助者1名が背もたれの後ろに立ち、背中から肩甲骨周辺まで腕を伸ばして上方移動する
- → 足が落ちないように介助者のもう1名が足をサポートする
- (13)しっかり深座りできたらバッグの取っ手をひっぱりバッグを抜き取る
- (14)お腹と脇部分の下着をズボンに入れ、外側のシャツも整える
- (15)ティルト・リクライニングを戻すと同時にHugを車椅子前方に近づけてロックする
- → ティルトを下方へ戻すときにズボンの裾を整え、踵の位置を修正する
- (16)前方のHugを支えに上体を前に倒し、背中部分の下着をズボンに入れる
- (17)必要に応じて上着を着る
- → 背中部分のシャツはお尻の方までしっかりのばして整える
- (18)Hugから上体を起こして車椅子の背もたれに寄りかかり、Hugを離す
- → 上体を起こせない時は、必要に応じて介助する
- (19)胸ベルトを締める
- (20)必要に応じてひざ掛けをかける
- (21)移乗完了
留意点
エコバッグはスライドシートと同様に、よく滑る、ということをお忘れなく。誰かがどこかから滑り落ちて転倒して怪我しないように、使い方や置き場所にも十分にご注意ください。
身体の状態、機能低下の状況などは一人一人異なるので、これはあくまでも私の場合の工夫です。こんなこともあるんだな、程度に読み流していただければ幸いです。
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