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[ 日本 ] ALS患者のミトコンドリア機能改善に新知見

-ALS 患者由来 iPS 細胞などで MA-5 による病態改善効果を確認-

MA-5(ミトコニックアシッド5、Mitochonic acid 5)は、東北大学大学院医学系研究科および大学院医工学研究科の阿部 高明教授らのグループにより、細胞のエネルギーをつくるミトコンドリアの働きを改善する目的で開発された化合物です。現在、難聴を有するミトコンドリア病(ミトコンドリアの働きが低下することで起こる疾患の総称)を対象とした、MA-5の医師主導第Ⅱ相臨床試験が行われています*。MA-5の健常人を対象とした第Ⅰ相臨床試験はすでに終了し、健常人における安全性と薬物動態が確認されています。

一方、多くの ALS 患者に共通して、ミトコンドリアの機能異常が認められることから、本研究では、患者由来 iPS 細胞から作製した運動神経細胞を用いて、MA-5のALSに対する有効性について、検討されています。本研究についてレポートします。

本研究は、東北大学、京都大学、国立精神・神経医療研究センター、慶應義塾大学の研究グループによるもので。2026年9月16日にプレスリリースされています。詳しい内容は、下記をご覧ください。

https://www.tohoku.ac.jp/japanese/newimg/pressimg/tohokuuniv_press20260924_web01_mitochonic.pdf

発表のポイント

⚫ ミトコンドリア機能を高める低分子化合物 MA-5 が、SOD1変異を持つ筋萎縮性側索硬化症(ALS)モデルショウジョウバエの 運動機能とミトコンドリア機能が改善することを明らかにしました。

⚫ MA-5 は、ALS 患者由来の皮膚線維芽細胞や患者由来 iPS 細胞から作製した運動神経細胞において、ATP産生やミトコンドリア機能を改善する作用を確認しました。

⚫ 本成果は、ミトコンドリアを標的とした ALS の治療法を検討する基盤となることが期待されます。

2番目のポイントについて、ALS患者由来iPS細胞から作成した運動神経細胞に対するミトコンドリア機能改善作用は、SOD1 遺伝子変異を持つ ALS 患者由来細胞だけでなく、FUS変異ALSや孤発性 ALS の患者由来細胞でも認められました。このように、遺伝的背景の異なる複数の ALS 患者由来細胞で同様の作用を確認できたことは、ALS に共通するミトコン ドリア機能異常を標的とした研究を進める上で重要な成果である、としています。

さらに本研究では、MA-5 の治療反応を予測・評価するための候補バイオマーカーとして、C7orf31 や C3orf62 などの分子も見いだされており、これらは将来的に、 MA-5 の作用が期待される患者群の検討や、治療反応のモニタリングに役立つ可能性があります。また、その中でも C7orf31 は SOD1 遺伝子が変異している ALS 患者において、孤発性 ALS や他の神経疾患の患者よりも血中濃度が高く、 SOD1 遺伝子変異型の ALS 診断マーカーになる可能性が示唆された、としています。

本研究はショウジョウバエおよび培養細胞を中心とした非臨床研究で、哺乳類の ALS モデルや ALS 患者において、MA-5 が運動機能の低下や病気の進行を抑制するかどうかは、現時点では明らかではありません。今後は、さらに多くの ALS 患者由来細胞や哺乳類の ALS モデルを用いて、 MA-5 の有効性、作用機序、適切な投与量や投与時期などを検証します。また、 C7orf31 などのバイオマーカー候補についても、患者の血液を用いた検証を行い、治療反応を予測・評価する指標として確立することを目指します、と述べられています。

*MA-5のミトコンドリア病の臨床試験については、下記をご確認ください。

●2025年11月19日プレスリリース:

世界初のミトコンドリア病治療薬「MA-5」の 第Ⅱ相臨床試験を開始 -難聴を有するミトコンドリア病患者を対象-

●臨床研究等提出・公開システム

ミトコンドリア病治療薬MA-5の医師主導第Ⅱ相試験。

(試験目的:難聴を有するミトコンドリア病患者にMA-5 を経口投与したときの有効性、安全性及び薬物動態を探索的に評価し、適切な対象患者集団や用法用量及び評価指標を決定する)

2026年10月12日 橋口 裕二@P-ALS

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