活動・お知らせ

財団設立一周年に寄せて

暑い日が続いていますが、皆様お変わりないでしょうか。
本年8月4日に、私たちの財団は発足一周年を迎えました。ここまで私たちの活動を支えてくださった多くの支援者の皆様に、この場を借りて深く御礼申し上げます。
皆様の励ましにより、二年前に私がALS(筋萎縮性側索硬化症)を発症した時には予想もできなかったことが、実現へ向かっていることに心から喜びを覚えております。

財団では、患者さんやご家族に対し「よりそう」「ささえる」共に「のりこえる」をミッションとし、具体的な支援を直接お届けすることを当面の目標に定め、活動を展開してきました。この一年に取り組んだ主な活動は以下のとおりです。

「電動車いすレンタル支援事業」の推進

これは、ALS患者向けの電動車いす開発に大きな実績があるペルモビール社(本社・スウェーデン)の電動車いすを、事情があって使えないALSの患者さん向けに、財団がレンタル費用を一部負担して利用していただく事業です。
例えば病気の発症が40才未満の方は介護保険の対象とならないため、電動車いすを使いたくても自費負担が大きく諦めざるを得ませんでした。
当事業に応募された男性は、40才未満で介護保険の対象外のため、電動車いすの使用を諦めていたが、当事業を活用することで道が開かれ、気持ちが明るくなったこと、また小さなお子さんを持つ父親として、電動車いすを使えばお子さんと共に動ける範囲が広がること、家事・育児・介護の負担を一人で担っておられる奥様の負担も軽減することができることになると、とても喜んでおられました。
皆様のご支援を患者さん・ご家族へ直接お届けすることができた最初の例となり、財団一同心から喜んでおります。

「視線入力型会話補助装置の開発、レンタル事業」の推進

これは、自力発声による会話が難しくなってきたALS患者さんに、財団が開発した視線入力型会話補助装置を早期に貸し出すことで、比較的麻痺等が軽く心身に余裕のある時期に装置の扱いに慣れていただき、ご家族やヘルパーさんなどとのコミュニケーションをスムーズにし、闘病生活のストレスの軽減を目指す事業です。
視線入力型会話補助装置にはすでに様々な形のものが市場に出ていますが、装置の多くは習熟までに一定の期間を要し、患者さんの大きな心身の負担になっています。
当財団では、在米国の優れた技術者の協力により、この半年で試験機を完成し、現在最後の確認作業に入っています。確認が完了次第、お待ちになっている患者さんにモニター利用を始めていただくことになっています。
この事業も、財政的な負担無しに、次の生活に向けての新しい一歩が踏み出せることで、患者さんとご家族に大変喜ばれております。

患者さんの情報プラットフォームとして財団サイトを始動

皆様のご寄付で立ち上げることができた財団のサイトには、ALSの患者さんやご家族からのアクセスが増えています。医療の専門家ではない私たちの財団ですが、同じ病と闘うスタッフがいる団体であることが共感を呼び、悩みを分かちあう場として連絡をくださることが多いようです。
また、日本国内に留まらず海外諸機関との連携や情報交換も始めており、手始めに、海外在住の医療関係スタッフが収集したALS関連のニュースを、日本のALS専門医の監修を経てサイトにて紹介し始めました。病気の重篤性から、どうしても患者さんや家族の生活は内向きになりがちですが、他国の患者さんや団体の行動を見て勇気づけられたり、今後の闘病の参考にすることができるメリットがあればと思い取り組んでおります。
今後も必要な情報を増やし、内容の改善を図っていきます。


財団2年目となるこれからの1年は、上記事業の継続のほか、患者さんの大きな悩みである、就職を支援する活動を立ち上げたいと考えております。
今秋には第2回目となるシンポジウムの開催も予定しております。

最後に一点、お願いを申し上げます。

これまでの活動は、ボランティアスタッフの献身的なはたらきにより支えられてきましたが、それぞれ仕事を持ちながらの活動であるため割ける時間が限定的であり、より力強く財団活動を展開していくために、さらなる共働スタッフが加わってくださることを心から待ち望んでおります。
お志を共にしてくださる方がいらっしゃいましたら、ぜひ財団サイトお問い合わせからご連絡ください。
現在とくにお力を必要としているのは、次のような分野です。

  • 財団の公益法人化関連業務
  • 企業寄付募集業務
  • 車いす製作業務
  • 患者さん/家族と財団のコンタクト支援業務
  • 若年層イベント協力業務

その他の分野でも、これまでのご経験を財団活動に生かしてみたいと思われておられる方、ぜひお声掛けください。
引き続き皆様の温かいご支援、ご声援をよろしくお願いいたします。

すこやかさゆたかさの未来研究所
代表理事 畠中一郎

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